長期優良住宅とは

長期優良住宅

長期優良住宅とは、長期間にわたり安全で快適な住まいを提供するために設計・施工される住宅のことです。
その特徴は、耐震性、省エネルギー性、維持管理の容易さなど、高い基準を満たすこと。将来にわたって価値を保ち、住み続けることが可能な住宅を指します。
この記事では長期優良住宅の認定を受けるメリット・デメリット、認定を受ける方法について解説します。

長期優良住宅の認定基準について

長期優良住宅には、国が定めた認定基準を満たす必要があります。認定基準は、以下の9つの項目からなります。

劣化対策

長期間にわたって耐久性を保つための対策が求められます。建材や設計において耐久性を確保することが重要です。

耐震性

地震に対する耐性が求められます。耐震等級3などの基準を満たすことで、地震への安全性が確保されます。

維持管理・更新の容易性

長期間にわたって適切な保守管理ができることが必要です。また、将来の改修や更新作業が容易に行える設計が求められます。

可変性

居住者のニーズやライフスタイルに合わせて、住宅の配置や仕様を変更できる柔軟性が求められます。

バリアフリー性

高齢者や障がい者にも利用しやすい無障害の設計が必要です。

省エネルギー性

環境への配慮とエネルギー消費の低減を目指すため、省エネルギー性の高い設計が求められます。

居住環境

周辺環境や交通アクセスなど、住環境の質も考慮されます。

住戸面積

居住者の快適な生活を支える十分な広さが求められます。

維持保全計画

長期間にわたって住宅を良好な状態で維持するための計画が必要です。

長期優良住宅のメリット

長期優良住宅には、以下のようなメリットがあります。

所得税における住宅ローン控除での優遇

長期優良住宅を購入することで、住宅ローンの利息支払いに対する所得税の控除が受けられます。これにより、税金の軽減が期待できます。
住宅ローンを組む際、金利が固定されるフラット35は人気のプランですが、その中でも長期優良住宅だとより金利が低い「金利Aプラン」が適応されます。
金利Aプランの場合、当初10年間の金利が0.25%も引き下げられるので、とてもお得です。

投資型減税を受けられる

投資型減税制度とは、住宅ローンではなく自己投資のみで住宅を購入する際に所得税が控除される制度です。
所得税の控除は長期優良住宅や低炭素住宅の性能強化に必要となった費用が対象となります。
投資型減税の控除額は最大650万円であり、年間に収めた所得税の額より控除額が超えることはありません。
しかし、控除しきれなかった分は翌年の所得税から控除されます。

不動産取得税の控除を受けられる

長期優良住宅の取得においては、特例として100万円が上乗せされ、1,300万円の控除を受けられます。
この特例は2022年3月31日まででしたが、適用期限が2年間延長されました。
よって、2024年3月31日までの新築に対し、不動産取得税の控除が受けられます。

登録免許税の税率が低くなる

長期優良住宅を建てる際の登録免許税の税率が通常の住宅よりも低くなることがあり、建設にかかる費用を削減できます。
新築時に行う所有権保存登記が一般住宅の場合、62%軽減されるのに対し、長期優良住宅は75%軽減されます。
例として、住宅の課税標準が1,000万円の場合、一般住宅は25,000円に対し、長期優良住宅は30,000円軽減となるのです。
一般住宅と比べて優位性としては弱い印象があるかもしれません。その他の優遇制度や住宅性能そのものから総合的に判断するといいでしょう。

住宅ローン控除が受けられる

住宅ローン控除とは、償還期間10年以上の住宅ローンを組み一定の基準を満たした住宅を購入した人が受けられる税優遇制度です。
所得金額などの制限がありますが、申請すれば10年間にわたり年末借入残高の1%の所得税還付が受けられます。
また、この制度の控除借入限度額は一般住宅だと4,000万円ですが、長期優良住宅の場合、5,000万円に拡充されます。

地震保険が割引できる

火災保険と一緒に加入することが多い地震保険ですが、長期優良住宅の場合、保険料の割引ができます。
必要書類を提出すれば適応されるため、加入時に忘れないようにしましょう。

地域型住宅グリーン化事業の補助金が受けられる

国土交通省の採択を受けたグループである地域型住宅グリーン化事業に所属する工務店により木造の長期優良住宅を建てる場合、補助金を受けられます。
補助金は一戸当たり最大140万円です。

快適かつ安心できる家に、世代を超えて住み継ぐことができる

高い耐震性や劣化対策が講じられた長期優良住宅は、長期間、家族の安全と快適な暮らしができます。
また、世代を超えて住み継ぐことができる点も魅力です。
長期優良住宅は長く住み続けることを前提に作られているため、資産価値が落ちにくく、売却する際も一般住宅より高値が付きやすくなります。

これらのメリットにより、長期優良住宅は経済的・環境的な面で多くの利点をもたらします。
税金の優遇や経済的な負担の軽減、安心できる住環境など、長期優良住宅は将来への投資として魅力的です。
また、耐久性や快適性に加え、将来の価値維持も考慮された設計が行われるため、資産価値も高まります。

長期優良住宅のデメリット

長期優良住宅には、多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。
デメリットの一つは、建築費用が高くなることです。長期優良住宅の基準をクリアするためには、高性能な建材や設備を使用する必要がありますが、それに伴ってコストも上昇します。
また、長期優良住宅は、定期的な点検や修繕を行うことが義務付けられていますが、これも費用がかかります。

デメリットのもう一つは、柔軟性が低くなることです。
長期優良住宅は、将来のライフスタイルの変化に対応できるように、間取りや設備の変更が容易にできるように設計されていますが、それでも一定の制約はあります。
例えば、外壁や屋根などの構造部分は変更できませんし、内装も基準に沿ったものにしなければなりません。
長期優良住宅のデメリットも理解しておく必要があります。自分のニーズや予算に合った住宅を選ぶことが大切です。

長期優良住宅の認定を受けるには

長期優良住宅に認定されるには、以下の手順を踏む必要があります。

1. 登録住宅性能評価機関に確認を依頼する

長期優良住宅の認定を受けようとする方(建築主または分譲事業者)は、長期優良住宅の建築及び維持保全に関する計画を作成し、着工前に登録住宅性能評価機関に確認を依頼する必要があります。
登録住宅性能評価機関は、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づき、長期使用構造等であるかの確認を行い、申請者に対して確認書等を交付します。
確認書等は、認定申請書に添付して所管行政庁に提出する必要があります。

2. 所管行政庁に認定申請を行う

登録住宅性能評価機関から確認書等を受け取ったら、所管行政庁(都道府県知事または指定市町村長)に認定申請を行います。
認定申請書(第一号様式)には、確認書等のほか、建築及び維持保全に関する計画や維持保全計画などの必要書類を添付します。
所管行政庁は、長期使用構造等以外の認定基準(面積・地域環境・自然災害対策など)について審査し、適合すれば認定通知書を交付します。

3. 認定通知書を受け取る

所管行政庁から認定通知書を受け取ったら、長期優良住宅としての建築が正式に承認されたことになります。
認定通知書は、税制優遇や補助金などのメリットを受ける際に必要となる重要な証明書です。
また、完成後は維持保全計画に従って点検や補修などの維持管理を行う必要があります。

長期優良住宅を建てる際の注意点

長期優良住宅を建てる際には、以下のような注意点があります。

事前の計画が大切

長期優良住宅の認定は、建築確認申請時に行われます。認定を受けるためには、設計図書や性能評価書などの必要書類を提出する必要があります。
書類作成には時間と費用がかかりますので、事前に計画しましょう。

定期的な点検や維持管理が必要

長期優良住宅の認定を受けた後も、定期的な点検や維持管理が必要です。点検や維持管理には専門的な知識や技術が必要ですので、信頼できる業者と契約しましょう。また、点検や維持管理にかかる費用も考慮しましょう。

建築費用がかかる

長期優良住宅は、高品質な素材や設備を使用しています。そのため、一般的な住宅よりも建築費用が高くなります。予算に合わせて、必要な性能や機能を選択しましょう。

長期優良住宅を建てることは、将来的に住宅の価値や快適性を高めることにつながります。
しかし、長期優良住宅を建てる際には、上記のような注意点を把握しておくことが大切です。

長期優良住宅を後悔しないためのポイント

長期優良住宅を建てるには、一般的な住宅よりも高い費用がかかります。そのため、後悔しないためには、以下のポイントに注意する必要があります。

・予算をしっかりと立てる
・長期優良住宅の基準を理解する
・自分のライフスタイルに合った間取りや設備を選ぶ
・信頼できる工務店や設計事務所と契約する
・定期的なメンテナンスを行う

住宅は一生に一度の大きな買い物です。後悔しないためには、自分のニーズや希望を明確にし、慎重に検討することが大切です。
長期優良住宅を建てることで、快適で安全な住まいを長く楽しむことができます。

まとめ

長期優良住宅とは、住宅の品質や性能を高めることで、長期にわたって住み続けられる住宅のことです。
認定には、省エネルギー性や耐震性などの基準を満たさなくてはなりません。
また、国や地方自治体から補助金や減税などの優遇措置があります。
長期優良住宅は、住宅のライフサイクルコストを削減するだけでなく、環境にも配慮した持続可能な住宅と言えます。